医食同源、東洋医学の原点「漢方」にも登場します。約1800年前の中国の古い薬物書「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」にも桑の薬効が書かれ、古くから生薬(しょうやく)として用いられてきました。漢方では、せき止めやぜんそくに効き、血液の流れを良くし、滋養強壮の効果があるといわれています。話題のポリフェノールやアントシアニンが研究される前に昔の人々は桑の実にそういった力があることを体得していたのです。
こんな記事があります。
1990年、中国の第四次人口調査の結果、新疆ウイグル自治区皮山県18万の人口の中に70歳以上の人が5,113名おり、本件の人口の2.84%を占めていた。中でも100歳以上の長寿者が20名、注目すべきは最年長者が120歳であるということである。皮山県は少(少数民族)、邊(片田舎)、窮(貧しい)を特徴としている県であるのにもかかわらずなぜこれほどの「長寿県」になったのか。新疆科学院と新疆医学院が合同で調査を行いこのなぞを解明した―――この地域には桑の木が植えられていたのだ。
皮山県はタクヤマカン砂漠の南、崑崙山の北側に位置しシルクロードの南道において重要な地域である。桑を植え、蚕を育てることは長い歴史を持っている。長い歴史の中で桑の木は葉も皮も実もずっとこの地域の人々の生活にかかわってきたのである。
「中国食品」1994年3月号より抜粋
心臓病やさまざまな生活習慣病、高齢に伴うさまざまな疾患にたいして桑の実を摂るというよりは、結果としてげんきに長生きしているといった感じですが、そこからなにか学ぶものがあるような気がします。
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